magazine
新着情報

銅パイプ加工の特徴と難しさ|素材を知り尽くした現場から
2026.06.05
-
未分類
銅パイプは「削りやすい」のか
銅は柔らかい素材です。だから加工しやすいと思われることが多い。でも実際の現場では、銅パイプの加工は決して簡単ではありません。
柔らかいがゆえの難しさがあります。粘りが強く、工具に素材がこびりつく「溶着」が起きやすい。曲げ加工では、素材の伸びと戻りのバランスをどう読むかが仕上がりの精度を左右します。「銅だから楽」という感覚で来ると、必ずどこかで詰まります。
銅パイプが選ばれる理由
銅パイプが使われる場面には共通点があります。熱を逃がしたい・電気を通したい・水や薬液を流したい。こういった用途で銅パイプは選ばれます。
熱伝導率の高さは金属の中でもトップクラスで、熱交換器・冷媒配管・EV向けの冷却部品に多く使われています。導電性の高さから、バスバーや電気部品向けの配管としても需要があります。
近年はEV市場の拡大に伴い、バッテリーや駆動系の冷却ユニット向けの銅パイプ加工の需要が増えています。軽量化・省スペース化の要求が厳しくなる中で、複雑な形状の銅パイプ加工が求められるケースも増えています。
銅パイプ曲げ加工の難しさ
割れと潰れのコントロール
銅パイプを曲げるとき、外側には引張力・内側には圧縮力がかかります。曲げRが小さいほど、外側が割れるリスクと内側が潰れるリスクが高まります。
素材の肉厚・外径・曲げRの関係を正確に把握した上で、加工条件を設定することが必要です。「同じ銅パイプ」でも、メーカー・ロット・調質によって素材の特性が微妙に異なるため、都度確認しながら進めることが重要です。
スプリングバック
金属は曲げ加工後に少し戻ろうとする「スプリングバック」が発生します。銅はスプリングバックが比較的少ない素材ですが、ゼロではありません。
図面の角度通りに仕上げるためには、スプリングバック分を計算に入れた曲げ角度で加工する必要があります。この補正量は素材の種類・肉厚・曲げRによって変わるため、経験の積み重ねが精度に直結します。
溶着の問題
曲げ加工後に二次加工として切削を行う場合、銅特有の溶着の問題が出てきます。刃先に素材がこびりつくと、加工面が荒れて寸法精度にも影響します。工具の選定・切削速度・クーラントの管理を素材に合わせて最適化することが必要です。
銅パイプ加工で発注者が知っておきたいこと
素材の種類を明確に
「銅パイプ」と一口に言っても、純銅(C1020・C1100)・りん脱酸銅(C1201・C1220)など複数の種類があります。用途によって適切な素材が異なり、素材の選定が加工の難易度とコストに影響します。
「銅パイプで」という指示だけでは、加工業者が最適な素材を選べないことがあります。用途・求められる特性・使用環境を伝えることで、より適切な提案が返ってきます。
図面には曲げRと角度を明確に
銅パイプの曲げ加工では、曲げRと角度が加工の難易度を左右します。図面に曲げRの指定がない・角度の公差が曖昧という状態では、業者によって解釈が異なり、意図した形状に仕上がらないことがあります。
特に複数箇所を曲げる複雑な形状では、各曲げ部のRと角度を明確に図面に記載することが、仕上がり品質の安定につながります。
試作で確認してから量産へ
銅パイプの曲げ加工は、図面上で問題がなくても実際に曲げてみると想定外の変形が出ることがあります。特に複雑な形状・小さな曲げR・薄肉パイプでは、試作で問題を洗い出してから量産に移行することをおすすめします。
試作段階での修正は、量産後に問題が発覚した場合と比べてはるかに少ないコストで対応できます。
「この形状、本当に曲げられるか確認したい」「試作から相談したい」という段階からでもお気軽にご相談ください。
辰己屋金属株式会社 代表取締役社長 奥出真通
辰己屋金属株式会社
【本社】〒570-0046
大阪府東大阪市西堤本通西1-8-20
TEL:06-6789-5831 FAX:06-6789-5838
お問い合わせフォームはこちら