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パイプ加工×精密切削の相乗効果。辰己屋金属が提供する「複合加工」が、設計者の工数削減と高精度化を実現する理由

2026.04.22

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1. 序論:製造業の地殻変動と、辰己屋金属が「切削」に託す使命

日本の、そして世界の製造業はいま、かつてないほどの激動の時代を迎えています。これまでの「大量生産・大量消費」を前提としたモノづくりから、高付加価値、多品種少量、そして持続可能性(サステナビリティ)を追求するモノづくりへと、そのパラダイムが根本から覆されようとしています。

私たち辰己屋金属株式会社は、東大阪という、日本屈指のモノづくりの集積地で産声を上げました。創業以来、私たちのアイデンティティは常に「パイプ加工」と共にありました。銅、アルミ、真鍮。これらの非鉄金属を、自由自在に、かつ「シッカリ」とした精度で曲げ、拡げ、絞る技術。それは多くのエンジニアから信頼を勝ち得てきましたが、私たちは現状に満足することはありません。

なぜ、パイプ加工のプロである私たちが、いま「切削加工事業」にこれほどの情熱を注ぎ、大規模な設備投資を行っているのか。その答えは、最先端の設計現場にあります。

例えば、電気自動車(EV)の熱管理システムや、次世代半導体製造装置の冷却モジュール。これらの設計図には、もはや「パイプを曲げるだけ」では解決できない、極めて高度な「削り出し(切削)」の精度と、三次元的な複雑形状が当たり前のように求められているからです。私たちは、単なる「下請けの加工屋」から、お客様の「理想を形にする技術パートナー」へと進化するために、切削加工を自社の第二の心臓としてシッカリと据えました。本稿では、その切削事業の深部まで、一切の出し惜しみなしで解説していきます。

2. 塑性加工(パイプ)× 切削加工(削り出し):二つの技術を融合させる真の価値

金属加工の世界には、大きく分けて二つのアプローチが存在します。一つは、材料に力を加えて変形させる「塑性加工」。もう一つは、材料を刃物で削り落とす「切削加工」です。多くの町工場はこのどちらか一方に特化していますが、辰己屋金属はその両輪を自社内に持っています。この「融合」こそが、現代の複雑なモノづくりにおける最強の武器となります。

2-1. 塑性加工の強みと、突き当たる「壁」

塑性加工(ベンダーによる曲げ加工など)は、材料を一切無駄にせず、連続的に形を変えられるため、コストパフォーマンスに優れています。また、加工によって金属の結晶構造(ファイバーフロー)が途切れないため、強度を維持しやすいというメリットがあります。しかし、一方で「肉厚の制御」や「鋭角なエッジ」、「超高精度の嵌合部(かんごうぶ)」の製作には物理的な限界があります。

2-2. 切削加工の圧倒的な自由度と、その代償

対して切削加工(マシニングセンタや旋盤)は、金属のインゴット(塊)から不要な部分を削り出すため、形状の自由度はほぼ無限です。複雑な三次元曲面、極細のネジ溝、高精度の段付き加工。これらを100分の1ミリ、あるいはそれ以上の精度で実現できます。ただし、削り落とした分だけ材料が無駄になり(切り粉の発生)、加工時間も長くなるため、単価が高くなりやすいという側面があります。

2-3. 「辰己屋式・複合加工」が導き出す最適解

辰己屋金属が提案するのは、この二つの「いいとこ取り」です。
「コストを抑えたい部分はパイプ曲げで、精度が求められる接続部は切削品をロウ付けする」。あるいは、「パイプを曲げた後、その先端部だけをマシニングで精密に二次加工する」。このように、二つの技術をハイブリッドに組み合わせることで、過剰なスペックを削ぎ落としつつ、必要な機能だけをシッカリと確保した、最適解の製品をお客様に提供できるのです。これは、設計段階から「曲げ」と「削り」の両方の限界を知っている私たちだからこそできる提案です。

3. 非鉄金属切削の極致:銅・アルミ・真鍮を「手懐ける」技術

私たちは鉄やステンレスも扱いますが、辰己屋金属の真骨頂はやはり「銅(純銅・合金)」「アルミニウム」「真鍮」といった非鉄金属の切削にあります。これらの素材は、実は鉄よりも「切削難易度が高い」素材であることをご存知でしょうか。

3-1. 銅切削の極意:溶着と熱変位との終わりなき戦い

純銅は非常に柔らかく、かつ「粘り」が極めて強い素材です。普通に削ろうとすると、刃先に金属が溶けてこびりつく「溶着(構成刃先)」が起き、それが原因で仕上げ面がガタガタになります。
私たちは、銅専用の超硬鋭角工具や、摩擦係数の極めて低い特殊コーティング工具を使い分け、刃先の切れ味を常に最高の状態に保ちます。さらに、銅の極めて高い熱伝導率を逆手に取り、加工中の摩擦熱による寸法変化(熱変位)をシッカリと計算に入れた補正プログラムを組んでいます。「銅の削り出しで鏡面に近い光沢を出す」——。これが辰己屋金属のスタンダードです。

3-2. アルミニウム切削の極意:高速加工とバリの徹底制御

アルミニウムは高速で削れる反面、非常に脆い「バリ」が発生しやすいのが難点です。特に医療機器や半導体関連の部品では、ミクロン単位のバリ一つがシステム全体の致命的な故障に繋がります。
私たちは、マシニングセンタの主軸回転数を素材のグレード(2000系〜7000系)に合わせて緻密に最適化。バリの発生を物理的に抑える「逃げ」の加工パスを独自に開発しています。さらに、最終工程では熟練工による顕微鏡下でのバリ取りと検品を組み合わせることで、「辰己屋のアルミパーツは、納品された袋から出してそのままクリーンルームに持ち込める」という高い評価をいただいています。

3-3. 真鍮切削の極意:切り粉のコントロールとスピードの両立

真鍮は比較的削りやすい素材とされていますが、その分、要求される「リードタイム」と「コスト」はシビアです。辰己屋では、自動旋盤を駆使した高速加工により、微細なネジ加工や段付き加工を施した真鍮パーツを安定して供給。切り粉が細かく砕ける真鍮の特性を活かしつつ、刃物の摩耗を最小限に抑える条件出しをシッカリと行うことで、高品質と低価格の両立を実現しています。

4. 辰己屋の設備力:マシニングセンタとNC旋盤の連携による工程集約

私たちの切削事業を支えるのは、東大阪の町工場としては異例の充実した設備ラインナップです。これらの機械を「ただ持っている」のではなく、高度に連携させることで、他社には真似できないスピードと精度を実現しています。

4-1. マシニングセンタ:複雑形状を一度のチャッキングで

縦型マシニングセンタを主力とし、アルミブロックからの三次元削り出しに対応しています。治具の自作能力が高いため、通常の機械では固定が難しい「曲げ加工後のパイプ」をシッカリと保持し、その端面に精密なネジ切りや座ぐり加工を施すことができます。この「二次加工」の技術こそが、辰己屋の切削事業の大きな特徴です。

4-2. NC旋盤・複合加工機:丸物加工の極致

旋盤加工においては、単純な外径・内径削りにとどまらず、ミーリング(回転工具)機能付きの複合機を導入しています。これにより、旋盤で丸めた直後に穴あけや溝加工を同一の機械で行うことができ、ワークの脱着による誤差(芯ズレ)をゼロに抑えることができます。特に銅パイプのコネクタ部品など、気密性が求められる丸物パーツにおいて、その威力を発揮します。

5. 設計者へのVE・VA提案:コストを下げ、価値を上げる「現場の知恵」

辰己屋金属は、単なる「図面通りに削るだけの業者」ではありません。私たちは設計段階から食い込み、積極的なバリュー・エンジニアリング(VE)提案を行います。

5-1. 「一体化」による部品点数削減の提案

これまで3つのパーツを溶接やボルトで繋いでいたものを、マシニングでの削り出し+パイプ曲げの組み合わせで「1パーツ」にまとめられないか。部品点数が減れば、在庫管理コストが減り、組み立て工数が減り、そして何より「漏れ」や「故障」のリスクが劇的に下がります。

5-2. 「材料の置き換え」による軽量化提案

「強度のために重いステンレスの切削品を使っているが、構造を見直せばアルミの切削品+補強パイプで十分ではないか」。こうした素材特性を熟知したプロならではの視点で、製品全体の軽量化とコストダウンにシッカリと貢献します。

6. 活用事例の深掘り:辰己屋の切削が支える最先端インフラ

具体的に、どのような分野で辰己屋の切削技術が求められているのか、代表的な事例を挙げます。

6-1. EV(電気自動車):パワーモジュールの冷却ユニット

EVのバッテリーやモーターを冷やすための冷却水路。ここには、複雑な内部流路を持つ切削マニホールドが欠かせません。辰己屋の「アルミ削り出し+ロウ付け」の技術は、省スペース化と高い放熱効率を両立させています。

6-2. 半導体製造装置:超高真空・超純水への対応

半導体の製造工程で使用される部品には、一切の不純物やリークが許されません。私たちの精密旋削技術は、ガスや水が流れる接合面のシール性を極限まで高め、世界のデジタルインフラを足元から支えています。

6-3. ロボット・航空宇宙:極限の軽量化

1gの差が性能を左右するロボットアームや航空宇宙分野。肉厚を限界まで削ぎ落とす「薄肉切削」とパイプ加工の組み合わせは、軽量かつ高剛性な構造体を実現するための核となる技術です。

7. むすび:東大阪の職人魂を、貴社の製品開発に

長大な文面でお伝えしてきたのは、辰己屋金属が単なる加工屋ではなく、お客様の製品価値を高めるための「金属加工コンシェルジュ」であるという強い自負です。

「切削の精度が欲しいが、コストが心配だ」「パイプと切削の組み合わせ方がわからない」「他社で断られた」——。そんな悩み、ぜひ私たちにぶつけてください。東大阪の泥臭い職人魂と、最新の切削テクノロジーを掛け合わせ、私たちは必ず「シッカリ」とした答えを出してみせます。

辰己屋金属は、これからも切削加工という無限の可能性を秘めた技術を磨き続け、世界中のモノづくりの現場を、熱く、そして正確に支え続けます。

会社概要】 【お問い合わせ

辰己屋金属株式会社 代表取締役社長 奥出真通

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